ゴミ屋敷と呼ばれる状態の住居において、エアコンはどのような状況にあるのでしょうか。多くの場合、長期間にわたって清掃やメンテナンスが行われず、機能不全に陥っていることがほとんどです。ホコリ、カビ、そして場合によっては害虫の死骸などが内部にびっしりと詰まり、悪臭を放つだけでなく、健康被害の原因となることも少なくありません。エアコンのフィルターは目詰まりし、冷却効率が極端に低下することで電気代が跳ね上がったり、最悪の場合は故障して全く動かなくなることもあります。私もかつて、ゴミ屋敷の清掃を手伝った際、エアコンの内部がまるで別の生き物の巣のようになっているのを見て衝撃を受けました。通常の家庭で数年に一度行うエアコンクリーニングとは比較にならないほど、過酷な状態に置かれているのです。専門業者による分解洗浄が不可欠であり、素人が手を出せるレベルをはるかに超えています。ゴミ屋敷におけるエアコンの故障は、単に「古いから」という理由だけではありません。堆積したゴミやホコリがエアコンの吸気口を塞ぎ、正常な空気循環を妨げることで、内部の熱交換器に過度な負担がかかります。これにより、コンプレッサーやファンモーターといった重要な部品の寿命が著しく短くなります。また、ゴミ屋敷特有の湿気やカビの繁殖は、内部の電子基板を腐食させ、誤作動や完全な故障につながることもあります。実際に、私が以前担当した現場では、エアコン内部のドレンパンがカビとヘドロで完全に詰まっており、水漏れを起こしているケースもありました。この水漏れが電気系統に影響を与え、ショートを引き起こす危険性も孕んでいます。さらに、ゴキブリなどの害虫がエアコン内部に侵入し、配線をかじったり、フンをすることで故障を引き起こすことも珍しくありません。これらの複合的な要因が重なり合い、通常の環境では考えられないようなスピードでエアコンは劣化し、最終的には機能停止に至るのです。