ゴミ屋敷でうんざりするほど飛び交うコバエ。市販の殺虫スプレーやコバエ取りグッズを使って自分で駆除しようと試みたことがある方もいるかもしれません。しかしゴミ屋敷レベルで深刻化したコバエ問題は残念ながら素人の手で完全に解決することはほぼ不可能です。その理由はコバエの生態とゴミ屋敷の特殊な環境にあります。まず最大の理由が「発生源が除去されないから」です。いくら今飛んでいる成虫を駆除してもコバエの繁殖工場であるゴミの山がそのままでは全く意味がありません。ゴミの中に放置された腐った生ゴミやこぼれたジュースを栄養源として、幼虫が次から次へと育ち新たな成虫となって供給され続けるのです。まさに蛇口から水が漏れ続けているのに床を拭いているのと同じ。根本原因である蛇口を閉めない限り問題は永遠に解決しません。次に「卵と幼虫には殺虫剤が効きにくい」という問題です。私たちが普段目にしているのは成虫のコバエだけです。しかしその何十倍何百倍もの数の卵や幼虫がゴミの山の奥深くや排水溝のヘドロの中、観葉植物の土の中などに潜んでいます。空間に噴霧するタイプの殺虫剤はこれらの場所に隠れている卵や幼虫にはほとんど効果がありません。成虫を駆除しても数日後にはこれらの予備軍が次々と羽化しまた元の木阿弥になってしまうのです。さらに「薬剤への耐性」の問題もあります。同じ殺虫剤を繰り返し使用しているとコバエの中にその薬剤が効きにくい抵抗性を持った個体が現れることがあります。そうなると市販の殺虫剤では全く歯が立たなくなってしまいます。これらの理由からゴミ屋敷のコバエ問題を根本から解決するためには単にコバエを駆除するだけでなく、その発生源であるゴミの撤去と徹底的な清掃を同時に行うことが絶対に不可欠なのです。そしてそれには専門的な知識と技術を持ったプロの力が必要となります。