「まさか私が」。それが気づいた時の正直な気持ちでした。私はごく普通の会社員。友人たちからはむしろきれい好きだと思われていたくらいです。しかし仕事での大きな挫折と恋人との別れが重なった時私の心はぽっきりと折れてしまいました。何もする気が起きずベッドから出られない日々。食事は出前のピザやお寿司。その空箱が部屋の隅に一つまた一つと積み重なっていきました。それが私のゴミ屋敷の始まりでした。最初は罪悪感がありました。しかしゴミが増え床が見えなくなるにつれて私の感覚は麻痺していきました。散らかった部屋は誰にも私のダメな部分を見られなくて済む安全な「シェルター」のようでした。しかしその代償はあまりにも大きいものでした。心は常に鉛のように重く笑い方を忘れてしまったかのようでした。そんな私を救ってくれたのは一本の電話でした。心配して何度も連絡をくれていた大学時代の親友からでした。「もしもし生きてる?」。その冗談めかしたしかし愛情に満ちた声を聞いた瞬間私の心のダムは決壊しました。私は泣きながら全てを話しました。部屋のこと仕事のこと失恋のこと。彼女はただ黙って聞いてくれました。そして一言「分かった。今から行くから」と。数時間後彼女は大量のゴミ袋と掃除道具そして二人分の温かいお弁当を持って私の部屋の前に立っていました。彼女は私を一切責めませんでした。ただ「どこからやろっか」と明るく笑い一緒にゴミを袋に詰めてくれたのです。二人で汗とホコリにまみれながら週末の二日間を費やしました。そして月曜の朝。朝日が差し込むきれいになった部屋で二人でコーヒーを飲んだ時のあの味を私は一生忘れないでしょう。ゴミ屋敷から抜け出すために必要なのは特別な魔法ではありません。たった一人でも自分のことを心から心配し寄り添ってくれる人の存在。その温かさなのだと私は知りました。
私がゴミ屋敷から抜け出すまで!ある女性の告白