親が亡くなり、実家がゴミ屋敷であることを知った瞬間から、相続放棄に向けたカウントダウンは始まっています。まず意識すべきは、相続を知ってから「三ヶ月以内」という法定期限ですが、ゴミ屋敷のケースではこの時間はあっという間に過ぎ去ります。したがって、初期動作のガイドラインとして、まず第一に「現場の写真を撮影し、現状を凍結すること」を徹底してください。ゴミの積み上がり具合、部屋の数、屋外への溢れ出しなど、後から客観的に惨状を証明できるように記録を残します。次に、家の中に潜んでいるかもしれない「現金」や「重要書類」についても、慎重な扱いが求められます。これらを回収して自分のために使えば単純承認になりますが、単なる保管であれば認められる余地があります。しかし、ゴミ屋敷の特性上、何が「財産」で何が「ゴミ」かの判断が難しいため、可能な限り動かさないのが安全です。第三の動作は、速やかな負債調査です。ゴミ屋敷の住人は、税金や公共料金を滞納していることが多く、さらに消費者金融などから借金をしているケースも珍しくありません。郵便物を確認し、督促状が来ていないかをチェックしてください。第四に、信頼できる専門家(弁護士や司法書士)への相談予約をすぐに入れることです。自己判断で片付けを進めてしまう前に、「相続放棄を検討している」と告げて、許可される行動の範囲を明確にしてもらいます。特に、自治体や近隣から片付けの圧力がかかっている場合は、専門家から「法的手続き中のため、現時点での処分はできない」という趣旨の書面を出してもらうことが、不要なトラブルを未然に防ぐ防波堤になります。ゴミ屋敷問題は、時間が経てば経つほど、害虫の発生や建物の損壊など、状況が悪化して相続放棄を妨げる要因が増えていきます。迷っている時間は一日もありません。「まずは自分で掃除してみてから」という考えは、ゴミ屋敷の規模を前にしては非常に危険な甘えとなり、自分の首を絞めることになります。初動での「何もしない勇気」と「即座の専門家相談」こそが、ゴミ屋敷という泥沼から自分を救い出すための唯一のガイドラインとなるのです。