過去十年間を振り返ると、ゴミ屋敷問題はその質と量において、明確な拡大の比率を辿ってきました。十年前、ゴミ屋敷はテレビのワイドショーで時折取り上げられる「奇妙な隣人」の問題として、特殊なケースという認識が一般的でした。しかし、この十年の間に、自治体によるゴミ屋敷条例の制定数は三倍以上に増加し、社会全体での認知比率は飛躍的に高まりました。これは単にメディアの露出が増えたからではなく、実際にゴミ屋敷の発生件数と相談件数が、右肩上がりの比率で増え続けているためです。この推移の背景には、いくつかの決定的な社会要因があります。第一に、単身世帯比率の増加です。2010年代を通じて一人暮らしの世帯は増え続け、それに伴い周囲の監視やサポートが届かない「ゴミ屋敷の種」が大量に蒔かれました。第二に、ネットショッピングの普及比率の向上です。外に出なくても物が手に入る環境が整ったことで、買い溜めの心理的・物理的ハードルが下がり、室内への物資流入比率が排出比率を大幅に上回る状態が常態化しました。第三に、精神疾患への理解は進んだものの、実質的な支援体制が追いついていないことによる、未治療のホーディングやADHD患者の放置比率の高さです。過去十年間の統計を精査すると、ゴミ屋敷主の若年化と、女性比率の上昇が顕著なトレンドとして浮かび上がります。また、コロナ禍という特殊な期間を経て、在宅時間の増加がゴミ屋敷化に拍車をかけた比率も高く、清掃業者への依頼件数はパンデミック前と比較して大幅に増加しました。行政代執行の実施件数も、この十年で微増していますが、依然として全体の発生件数に占める比率は極めて低く、法的・予算的な制約が解決のスピードを鈍らせている実態もあります。ゴミ屋敷問題は、この十年で「個人の逸脱」から「構造的な社会不全」へと、その定義と深刻度の比率を劇的に変えてしまいました。次の十年に向けて、私たちは増加し続ける統計の数字をただ眺めるのではなく、発生比率をいかに抑制し、解決後のリバウンド比率を下げるかという具体的な処方箋を、社会システムとして確立しなければならない局面に立たされています。