ゴミ屋敷問題の最前線である高齢者層に焦点を当てると、そこには社会構造の変化が残酷な比率となって表れています。全国の自治体が把握しているゴミ屋敷案件のうち、六十五歳以上の高齢者が占める比率は六割を超えるという報告が多く、超高齢社会の歪みを象徴しています。ここで注目すべきは、高齢者のゴミ屋敷化における男女の比率差と、その原因の差異です。男性の場合、定年退職後の社会的な役割の喪失や、配偶者との死別・離別をきっかけに、急速にセルフネグレクトに陥り、ゴミを溜め込み始める比率が高い傾向にあります。一方、女性の高齢者の場合、もともとの収集癖や「物を捨てるのはもったいない」という戦中・戦後の価値観が、加齢による認知機能の低下や体力の衰えと結びつき、整理整頓ができなくなることでゴミ屋敷化する比率が高いのが特徴です。また、独居高齢者の数に比例してゴミ屋敷の発生頻度も高まっており、特に「孤立死」の現場において、ゴミ屋敷状態であった比率は極めて高く、衛生環境の悪化が死を早める要因となっていることが示唆されています。精神医学的な側面からは、ホーディング(収集症)の発症比率が高齢期に顕在化しやすいことも指摘されており、これは脳の実行機能の低下が影響していると考えられます。近隣住民とのトラブルに発展する比率は、戸建て住宅に住む高齢者のケースで高く、これは庭や玄関先までゴミが溢れ出す「外部露出型」が多いためです。これに対し、マンション等の集合住宅では、管理会社が介入するまで発覚しない「内部蓄積型」の比率が高く、発見が遅れることで深刻化するリスクを孕んでいます。行政の支援が入った際に、素直に片付けに応じる比率は、女性の方が比較的高いという傾向も一部の相談員から報告されていますが、男性の場合は自尊心が障壁となり、介入を拒絶し続けることで事態が悪化する比率が高いという性差も見受けられます。高齢者のゴミ屋敷問題は、単なる清掃の問題ではなく、家族や地域社会との繋がりの比率がいかに低下しているかを示す、公衆衛生上の警鐘なのです。