ゴミ屋敷問題を語る上で、精神医学的なアプローチは避けて通れません。住人が何らかの精神疾患や発達障害を抱えている比率は極めて高く、専門家の間では八割から九割に近いケースで診断名がつく可能性があるとされています。特に注目されているのが、ADHD(注意欠如・多動症)の有病比率です。片付けという作業は、優先順位の決定、集中力の持続、物の分類といった高度な実行機能を必要とするため、ADHDの特性を持つ人々にとって、そのハードルは健常者の想像以上に高く、結果としてゴミ屋敷化してしまう比率が高いのです。また、強迫症の一種として定義された「ホーディング(収集症)」も、ゴミ屋敷形成の主因として大きな比率を占めます。これは物を捨てることに対して激しい苦痛を感じる疾患であり、本人はゴミではなく「価値あるコレクション」と認識しているケースが多いため、周囲の説得が通じない比率も高いのが特徴です。さらに、高齢者に多い認知症、特に「前頭側頭型認知症」では、社会的なルールや衛生観念が欠落し、ゴミを溜め込む行動が高比率で見られます。統合失調症や重度のうつ病によるセルフネグレクトの比率も無視できません。これらの疾患を抱えている場合、本人には環境を改善する意思やエネルギーが皆無であるため、外部からの強制的な介入なしには事態が好転する比率は限りなくゼロに近いと言えます。ここで重要なのは、ゴミ屋敷を解決しようとする際、物理的な清掃を行うだけで、精神的な治療を伴わない場合のリバウンド比率が非常に高いという事実です。ある調査によれば、精神的ケアを行わずに片付けただけの場合、半年から一年以内に元の状態に戻る比率は七割を超えるとされています。ゴミ屋敷は、目に見えるゴミの山という症状に過ぎず、その本質は「脳や心の機能不全」が一定の比率で発生しているという医学的な問題なのです。社会福祉と精神医療が連携し、この「精神疾患との相関比率」を念頭に置いた支援を行わなければ、ゴミ屋敷問題の根絶は不可能であり、今後も疾患を抱える人々の数に比例してゴミ屋敷が増加し続けることは避けられないでしょう。