私の生活が崩れ始めたのは数年前のことでしたが、気づけば部屋は天井近くまでゴミが積み上がる、いわゆるゴミ屋敷になってしまいました。当初は不便さを感じつつも慣れてしまっていたのですが、ある夏の夜、私の人生を根本から変える恐ろしい事件が起きたのでした。就寝中、首筋に冷たく動くものを感じた瞬間に、激痛が走ったのです。飛び起きて明かりをつけると、そこには十五センチはあろうかという巨大なムカデが這っているではありませんか。ゴミの山の中に逃げ込んでいくその姿を見て、私は恐怖で震えが止まりませんでした。噛まれた場所はまたたく間に赤く腫れ上がり、焼けるような痛みが数日間も続きました。病院へ駆け込むと、医師からは「もっとひどければアナフィラキシーショックを起こしていたかもしれない」と告げられ、自分の置かれている状況の危うさを痛感したのでした。ゴミ屋敷の中は、ムカデにとってこれ以上ないほど快適な場所だったのでしょう。後から思えば、部屋の至る所にムカデが潜んでいた形跡がありました。脱ぎ捨てた衣類の間、湿った段ボールの底、そして食べ終わった空の弁当容器の影。私は自分自身の怠慢によって、猛毒を持つ生物を自室に招き入れ、育んでいたのです。この事件を境に、私はゴミ屋敷の清掃を決意しました。一人では到底無理な量だったため、専門の業者に依頼しましたが、作業中に次々と出てくるムカデの数には、百戦錬磨の作業員の方々も驚いていました。ゴミが運び出され、床が見えるようになるにつれ、私の心の中にあった重い霧も晴れていくように感じました。今ではすっかり綺麗になった部屋で過ごしていますが、二度とあの夜のような恐怖を味わいたくはありません。ゴミ屋敷を放置することは、自らの命を危険にさらすことと同じだと、身をもって学びました。清潔な部屋に住むということは、ただ見た目が良いだけでなく、有害な生物から身を守るための最大の防御なのです。